本事件は、ペッパーフードサービス社(以下「ペ社」という。)が同社の店舗「いきなりステーキ」において実施している、量り売りステーキの提供方法の特許が異議申立により取消されたため、ペ社が知財高裁に取消を求めて提訴した事件です。
結論
本発明は、計量機とシールという「物」を構成要件としており、自然法則を利用した発明に該当する。したがって、特許第5946491号は維持されることになりました。
経過
特許権者は、異議申立に対し、平成29年9月22日付けで訂正審判を行い、特許庁は,同年11月28日当該訂正を認めましたが、発明は自然法則を利用しておらず、人為的取り決めであるとして特許の取消決定をしました。
この取消決定に対し、ペ社が知財高裁に取消決定の取消を求めて提訴しました。
判決の要点
下記構成要件E及びFを追加した結果、人為的取り決めではなく、自然法則を利用した発明になった。
E前記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力すること
F上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールである
筆者コメント
構成要件E及びFの追加によって、発明に該当することになったとの知財高裁の判断は妥当であると考えます。
本質的には、特許庁段階でここまで限定させなければならなかった案件であると考えます。審査官が安易に特許にしたために裁判までやらざるを得られなかったペ社に同情します。本特許権の影響かどうかわかりませんが、最近、ビジネスモデルの特許相談が増えているように感じます。自然法則を利用した技術的思想の創作という発明の定義に該当するように仕立て上げることで支援したいと思います。
取消前【請求項1】
aお客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、
b上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、
c上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、
d上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備える
eことを特徴とする、ステーキの提供システム。
訂正後【請求項1】
A お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと,お客様からステーキの量を伺うステップと,伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと,カットした肉を焼くステップと,焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって,
B 上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と,
C 上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と,
D 上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え,
E 上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと,
F 上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールである
G ことを特徴とするステーキの提供システム。